抗酸化物質が豊富な健康果物 タルトチェリーの効果

タルトチェリーとは

日本国内で流通するサクランボといえば、缶詰など一部を除きほとんどが生食用であり、明るい赤色をした国産またはアメリカンチェリーと呼ぶ濃い赤色の外国産がある、といった区別の仕方が一般的です。
そのためあまりなじみがありませんが、米国ではサクランボをまず品種によりsweet cherry(スウィートチェリー=甘いチェリー)とsour cherry(サワーチェリー=酸っぱいチェリー)に大きく分けます。
日本でいうところの“アメリカンチェリー”とは、ビング種、レイニア種など、ほぼこのsweet cherry類を指し示します。ちなみに、高級品として有名な佐藤錦(さとうにしき)は海外からやってきたsweet cherryの一種ナポレオンの交配種です。
タルトチェリー(tart=酸っぱい)はsour cherryの別称になります。タルトチェリーは果実に含まれる糖質がsweet cherry類の100g当たり12.82gに対して8.49gです。これは糖質=甘みと単純に考えて“sweet”に対して7割に満たない甘さであり、そのため“sour”または“tart”と呼ばれます。生食用中心のsweet cherryに対して、タルトチェリーはその酸味を活かし、ドライフルーツやジュース、お菓子、肉・魚料理のソースなど、加工を主な目的として栽培・生産されています。
日本では果物は甘いというイメージがありますが、海外では酸味や苦味のある果物も珍しくはなく、加工食品や料理に日頃から利用されています。酸味を加えるレモンや、風味を添えるユズのような果物の利用方法を例に考えていただくと分かりやすいのではないでしょうか。
タルトチェリー類はsweet cherryよりも粒が小ぶりで、果肉まで赤い色をしているといった点も特徴として挙げられます。日本でも栽培されているモンモランシー種やバラトン種などが品種として有名です。

タルトチェリーの成分

タルトチェリーには健康に有効とされる成分をはじめ豊富なビタミン、ミネラル類が含まれています。果物の中でもビタミンAとβ-カロテンがとくに豊富です。
sweet cherryと比較しても、同じ分量のカロリーは約2割低く、ビタミンAとβ-カロテンの含有量はそれぞれほぼ20倍で、ビタミンB3(2.6倍)、葉酸(2倍)、ビタミンC(1.4倍)も優れています。

生食の成分(100gあたり)
ビタミン類
ビタミンA 64μg
ビタミンB1(チアミン) 0.030mg
ビタミンB2(リボフラビン) 0.040mg
ビタミンB3(ナイアシン) 0.400mg
ビタミンB5(パントテン酸) 0.143mg
ビタミンB6(ピリドキシン) 0.044mg
ビタミンC 10.0mg
ビタミンE (α-トコフェロール) 0.07mg
ビタミンK (フィロキノン) 2.1μg
葉酸 8μg
コリン 6.1mg
β-カロテン 770μg
ルテイン + ゼアキサンチン 85μg
ミネラル類
カルシウム 16mg
0.32mg
マグネシウム 9mg
リン 15mg
カリウム 173mg
ナトリウム 3mg
亜鉛 0.10mg
0.104mg
マンガン 0.112mg
アントシアニン(アントシアニジン)類
シアニジン 32.6mg
ペオニジン 0.9mg
フラボノイド類
エピカテキン 3.8mg
カテキン 0.3mg
ケルセチン(クェルセチン) 1.5mg
ケンペロール 0.2mg
イソラムネチン 0.7mg
その他の成分
水分 86.13mg
エネルギー 50kcal
タンパク質 1.00g
脂質 0.30g
灰分 0.40g
炭水化物 12.18g
食物繊維 1.6g
スクロース(糖の一種) 0.80g
グルコース(〃) 4.18g
フルクトース(〃) 3.51g
(USDA National Nutrient Database for Standard Referenceより)

毎日摂るなら

タルトチェリーはおもに加工用として生産されています。
ドライフルーツやサプリメント、ジュースなら、季節にかかわらず手軽に摂取することができます。
※タルトチェリーは薬効成分のある果物ではありません。摂取することで病気が治るといった治療効果はありません。