抗酸化物質が豊富な健康果物 タルトチェリーの効果

アントシアニンは目に効果あり?

“アントシアニン=目”というイメージ

CMなどメディアでの露出もあり、近年アントシアニンは目の働きに関連のある成分として一般に知られるようになりました。しかしお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。最近はそうした広告から“目に効果がある”という類の直接的な表現が無くなりました(効果がありそうな演出はしていますが…)。
これは薬事法の「(食品の)医薬品的な効能効果の暗示」に抵触する表現へ厳しい目が向けられるようになったのが大きな理由ですが、そこには実際これまでにアントシアニンは目に効果があるという証明ができていない現実があります。

では、アントシアニンが目に効果があるという根拠は何でしょうか。
まず混乱させるのが「目に効果がある」という表現が、
A. 低い視力など恒常的な視機能の不調を向上する(視力を良くする)ことができる。
B. 疲れ目など一時的な視機能の不調をすばやく回復させる。
というどちらの意味にも受け取れるという言葉の曖昧さです。
Aは治癒または原状以上に機能が向上・増進することを意味しますが、Bでは原状回復までの意味しかありません。
Aについてはアントシアニンどころかどのような成分にもそのような作用は発見されていません。ただしBについてはアントシアニンには可能性がある、という点がこの有効説につながるようです。

アントシアニンが目に効果があるといわれる理由

目が疲れる、かすむなど視機能が不調となる原因のひとつとして、視機能を維持する栄養の不足が挙げられます。
ロドプシンという色素は目の網膜に必要な光の情報を受け取るたんぱく質ですが、このロドプシンが合成と分解を繰り返すことにより人は光を感じ「見る」ことができます。ところが再合成能力にも限界があり、使い続けるとしだいに再合成が必要量に追いつかなくなってきます。アントシアニンにはこのロドプシンの再合成を促す働きが示唆されています。つまりアントシアニンがロドプシンの働きを通常より活発にさせ、見えにくくなるのを抑えたり、早く回復させるというわけです。

また、アントシアニンの視機能に対する効果として、白内障予防や網膜疾患予防の可能性などに触れたいくつかの研究も発表されています。

しかし、アントシアニンの働きはどれも視機能の不調や損傷に対して補助的・予防的な効果を示唆するにとどまります。歪んでしまったレンズ(近視、遠視などの屈折異常)を修復するような効果ではありません。

目への効果はいまのところ期待まで

まずは食品で視力が原状以上に回復するなどということはありません。
アントシアニンの強い抗酸化作用や抗炎症作用が視機能のトラブルに良い方向で作用する可能性はあります。しかしアントシアニンを含む食品を経口摂取(口から食べる)した場合、同様の効果が得られるとは確認されておらず、有効性の証明にはまだまだ今後の研究を待つしかありません。
目に関していえば、現段階でアントシアニンの効果を強調する食品は疑問視する必要があるでしょう。

毎日摂るなら

タルトチェリーはおもに加工用として生産されています。
ドライフルーツやサプリメント、ジュースなら、季節にかかわらず手軽に摂取することができます。
※タルトチェリーは薬効成分のある果物ではありません。摂取することで病気が治るといった治療効果はありません。