抗酸化物質が豊富な健康果物 タルトチェリーの効果

タルトチェリーで期待される健康効果

タルトチェリーは薬効成分のある果物ではありません。摂取することで病気が治るといった治療効果はありません。ですが、健康維持や各症状の予防、緩和・改善が期待されるさまざまな成分を含んでいますので、普段の食生活に上手に取り入れてみてください。

抗酸化作用

体内で大切な殺菌作用をもつ活性酸素も、過剰な状態になると身体を酸化させ生活習慣病や老化の原因になることが知られています。タルトチェリーに含まれるポリフェノール類(アントシアニンやフラボノイドなど)やβ-カロテンは活性酸素の活動をブロックする抗酸化物質です。
高齢者の男女12人を対象に14日間タルトチェリージュースを1日2回240mL摂取して行われた実験では、酸化の指標とされるイソプロスタンの減少がみられ、体内で抗酸化機能が改善される効果を示唆しました。

また、タルトチェリーの抗酸化作用は加工や保存された後にも維持されることがわかっています。

筋肉疲労・筋肉痛の緩和

スポーツ選手など筋肉を酷使する人は、タルトチェリーの摂取によりすみやかに筋肉の損傷を回復する効果が期待できます。
男性14名の大学生を対象に行われた実験では、8日間にタルトチェリージュースを1日2回12オンス(360mL)摂取させたところ、これを摂取しないグループより激しい運動による筋肉疲労や筋肉痛が著しく少ないという結果が得られました。

トレーニング中の筋肉の痛みを和らげたり、トレーニング後に筋肉機能の回復を助ける働きも各実験により示されています。

体内の炎症症状抑制

タルトチェリーにはアントシアニン類が豊富に含まれ、中でもシアニジン 3-グルコシルルチノシドとシアニジン 3-ルチノシドは果物の中でも最高レベルの含有量(100g中26.6mg)です。同じくアントシアニンでよく知られるブルーベリーでは両成分は含まれません。
シアニジン3-グルコシルルチノシドは体内の炎症症状を引き起こす酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)の活性を阻害する作用があり、タルトチェリー(モンモランシー種、バラトン種)の抽出液ではCOX-1、COX-2の活性を妨げる働きがみられました。

ラットによる実験でもタルトチェリーの摂取が局所的な炎症症状を軽減するという結果が得られました。

関節炎(変形性関節症)の緩和

タルトチェリーの抗炎症作用は、関節炎の一般的な症状である変形性関節症の炎症に対しても有効であることが示唆されました。
変形性関節症の女性20人を対象に行われた実験では、21日間にタルトチェリージュースを1日2回10.5オンス(315mL)摂取することで、炎症の原因物質であるTNF-α、炎症により生じるC反応性タンパクの減少が認められました。

TNF-αは関節リウマチの痛みや腫れを引き起こす炎症にも関わっています。

痛風の予防

痛風に対するタルトチェリーの効果は早くも1950年代には研究対象となっていました。
近年、食や生活習慣の変化により血清尿酸値の高い人が増加しましたが、血清尿酸値の高さは腎臓の機能を損なう高尿酸血症を招きます。痛風はこの高尿酸血症を原因とした関節炎です。
10人の肥満者を対象に4週間行われた実験では、100%のタルトチェリージュースを1日8オンス(240mL)摂取した側の70%に血清尿酸値の減少がみられました。

心臓病・糖尿病リスクの軽減

ラットによる実験では、タルトチェリーの粉末を食事に混ぜて与えたところ、メタボリックシンドロームにみられるいくつかの症状を減少させ、2型糖尿病や心疾患が進行するリスクを軽減する可能性が示唆されました。

また、タルトチェリーの種子から抽出したエキスによる結果ではありますが、ウサギやラットを使った実験では心臓を保護する働きもみられています。

動脈硬化の予防

血管内にたまったコレステロールが酸化して過酸化脂質が発生する(脂質過酸化反応)と動脈硬化などの原因となります。
モンモランシー種、バラトン種からの抽出液ではこの脂質過酸化反応を阻害する働きが知られていました。

その後の研究でも炎症の抑制に効果があるシアニジン3-グルコシルルチノシドが脂質過酸化反応に対しても抑制効果を発揮することが認められています。

マウスによる実験では動脈硬化の一種、アテローム性動脈硬化症に対しても効果があることが示唆されています。

またチェリー類全般に含まれるケルセチンには、血流を改善したり血管の保護する働きがあります。

不眠の解消

チェリー類に含まれているメラトニンには、体内時計を整え自然な睡眠を導く働きがあります。メラトニンは脳から分泌され自然な眠りを導くホルモンの一種ですが、加齢や生活リズムの乱れにより分泌される量が減少したり、正常に分泌できなくなったりします。タルトチェリーにはこのメラトニンがとくに多く含まれています。
20人を対象に行われた実験では、7日間タルトチェリージュースを摂取することにより体内のメラトニンが増加し、睡眠の質の向上や睡眠障害に有効であることが示唆されました。

メラトニンと睡眠→

その他チェリー類全般の健康効果

タルトチェリーに限らず、チェリー類が一般的にもつ健康効果(研究段階を含む)があります。

低下した視機能の回復

果物の中でもチェリーに豊富に含まれるアントシアニンには目の活動に関わるロドプシンという成分に働きかけ、低下した視機能を改善する効果が示唆されるほか、眼疾患予防の可能性が研究されています。

アントシアニンは目に効果あり?→

貧血の予防

赤血球をつくるために必要な葉酸が体内で不足すると貧血を引き起こします。チェリーは果物の中でも葉酸が豊富に含まれているため、食品による貧血の予防には適しています。
また葉酸は、胎児の神経障害を防ぐ妊娠時に重要な栄養素であり、がんのリスクを減らす可能性がある栄養素としても知られています。

アレルギー症状の緩和

チェリーに含まれるケルセチンはアントシアニン同様の抗炎症作用が認められています。即効性はありませんが、ケルセチンには長期の摂取によりアレルギー症状の原因となるヒスタミンに対しての抑制効果が期待されています。

毎日摂るなら

タルトチェリーはおもに加工用として生産されています。
ドライフルーツやサプリメント、ジュースなら、季節にかかわらず手軽に摂取することができます。
※タルトチェリーは薬効成分のある果物ではありません。摂取することで病気が治るといった治療効果はありません。